オリンパス株式会社の代表執行役社長兼CEOのシュテファン・カウフマン氏。
オリンパスの経営改革を牽引するリーダーとして注目されましたが、2024年10月に同社を突然辞任することとなりました。
その背景やカウフマン氏の経歴やプロフィール、ビジネスキャリア、そして彼がオリンパスに与えた影響などを簡潔に解説します。
シュテファン・カウフマンの経歴とプロフィール
若手時代からオリンパス入社まで
シュテファン・カウフマン氏は1968年1月24日にドイツで生まれ、1990年9月にKarstadt AGで人事業務をスタートしました。
2000年には、旅行業界の大手であるThomas Cookにて人事部長としてキャリアを積みます。
この時期に培った人材管理のスキルが後の活躍の基盤となりました。
オリンパスでの成長と欧州でのリーダーシップ
2003年、カウフマン氏はオリンパスの欧州統括会社であるOlympus Europa GmbH(現在のOlympus Europa SE & Co. KG)に入社し、人事部ゼネラルマネージャーに就任しました。
その後、彼は迅速に昇進を重ね、2008年にはコーポレート部門のマネジングディレクター、2011年にはエグゼクティブマネジングディレクターの役職を獲得し、欧州、中東、アフリカ地域のビジネスを統括する役割を担いました。
企業改革の推進者としての功績
オリンパスは、歴史ある精密機器メーカーとして、科学・医療の両分野で広く活躍してきましたが、2010年代に事業構造を見直し、医療機器分野に集中する方向にシフトしました。
カウフマン氏はその変革において「Transform Olympus」という企業改革プランを推進。
2019年にはチーフアドミニストレイティブオフィサー(CAO)、2022年にはチーフストラテジーオフィサー(CSO)に就任し、さらにESG(環境・社会・ガバナンス)推進を担当する役割も担いました。
シュテファン・カウフマンのオリンパス代表執行役社長兼CEOに就任から辞任
就任
オリンパスの代表執行役社長兼CEOであった竹内康雄氏が2023年4月に退任し、カウフマン氏がその後任としてCEOに就任しました。
彼のCEO就任は、オリンパスが「真のグローバル・メドテックカンパニー」へと成長することを目指す重要な転換点と位置づけられていました。
特に医療機器分野での研究開発を加速し、消化器、泌尿器、呼吸器などの重点分野での競争力強化を目指しました。
医療機器業界でのビジョンと将来戦略
カウフマン氏は「医療従事者と患者さんのための医療水準の向上」に全力を尽くし、3〜5年先を見据えた中長期計画を立案しました。
人工知能(AI)を活用した内視鏡システムの強化や、グローバル市場でのM&Aや投資戦略を推進することが大きな柱でした。
特に欧州や中東地域での経験から、オリンパスを医療機器のトップランナーとして成長させることを目指しました。
突然の辞任とその背景
2024年10月28日、オリンパスはカウフマン氏が違法薬物の購入疑惑により辞任したことを発表しました。
オリンパスは、内部通報を受け、外部弁護士と協力し事実確認を行った結果、「企業行動規範に反する行為の可能性がある」と判断し、取締役会で辞任を求めたとのことです。
この発表は日本国内だけでなく、海外のビジネスシーンにも大きな衝撃を与えました。
辞任の影響とオリンパスの対応
カウフマン氏の辞任を受け、CEOの役割は当面、竹内康雄会長が担うこととなりました。
カウフマン氏は、オリンパスで20年にわたり尽力し、特に組織のガバナンス強化と医療機器分野での成長に注力してきたため、その影響は大きいと見られます。
竹内氏が短期的な経営体制の安定を図る一方で、オリンパスは今後、CEOを再選する必要があるでしょう。
まとめ
シュテファン・カウフマン氏の経歴は、人事部門からキャリアをスタートし、医療機器業界でリーダーシップを発揮した異色の道のりです。
彼が推進してきた「Transform Olympus」の変革プランはオリンパスの成長を支える重要な柱となり、医療分野での新製品開発やM&Aを通じたイノベーション創出においても成果を上げてきました。
ただ、今回のカウフマン氏の辞任は予期せぬ展開でしたが、今後もオリンパスが掲げる「世界の人々の健康と安心」の実現が今後どうなるか注目されます。
コメント